亀有教会小教区設立50年を迎えて

50周年ミサ

2021年5月9日に設立50周年を迎え、谷崎管区長司式のミサが行われました。

コンベンツアル聖フランシスコ修道会 

日本管区長 ルカ谷崎新一郎

 亀有教会は小教区として50年を迎えました。実はわたしと同じ歳で、わたしが生まれた年に、この教会は小教区となりました。わたしたちは生まれたときにみんな名前をもらいますが、この教会も名前をもらいました。普段は亀有教会と呼んでいると思いますが、もう一つ聖フランシスコ教会という名前があります。これが、教会としての正式な名前です。ここで聖フランシスコがどのような人だったかをあらためて思い起こしたいと思います。

 聖フランシスコは800年前の人で、お金持ちの家に生まれ、たくさんの友だちがいました。しかし、怖くて近づきたくないと避けていた人たちがいました。それはハンセン病を患った人たちです。当時は、ハンセン病は不治の恐ろしい病気でした。ところが、ある日、聖フランシスコは神様からとてもやさしいこころを頂き、突然ハンセン病の方たちを受け入れ、この方たちのお世話もできるようになりました。聖フランシスコによると、このときから彼は新しい人生を歩みはじめるようになったということです。

 それ以来、皆に恐れられていた狼も、イスラムの軍隊の司令官も、セミなどの虫も、この世の中にあるすべてのものは兄弟姉妹であり、神様のあたたかなこころを分かち合う存在であるとみなすようになりました。実際、聖フランシスコと出会った人や生き物は、聖フランシスコを通して神様のあたたかなこころに触れ、あたたかなこころを持つようになりました。聖フランシスコは、わたしたちがどのようなところにいても、神様、イエス様が共にいてあたたかなこころと伝えてくださっており、そのこころをすべてのものと分かち合うようになりました。

 亀有教会は、このような素敵な聖フランシスコの名前をもらっています。ですから、聖フランシスコの姿を思いめぐらしながら2つの大事なことをお伝えしたいと思います。それをこころに留め、これからも歩んでいただけたらと思います。

 1つ目は、神様、イエス様のやさしさについてたくさん思いめぐらすことです。今日もいつものように目を覚ますことができ、今、息をし、心臓が動いています。食事を通して、たくさんのいのちをいただき、いろいろなことが出来ています。それは、神様が支えてくださっているからです。わたしたちは、生まれたときは弱く、何もできない存在でした。今があるのは、これまでとても多くの方々を通して神様に支えられ、生かされ、ゆるされてきたからです。しかし、わたしたちはそのことを忘れ、自分の考えていることが一番優れているんだというように怒ってしまいます。これは残念なことです。ですから、1日に1回は、神様、イエス様からいただいているやさしさについて思いをめぐらしてみたらいいのではないかと思います。

 2つ目は、イエス様のあたたかなこころを思い起こして、他の人にやさしくすることです。イエス様は、わたしたちが神様の望みに背くようなことをしても絶対に見捨てずに一緒にいてくださる最高の友だちです。この教会の50年の歴史の中では、ケンカもあったと思います。それで去っていかれた方もいると思います。その時のこころの傷を抱えている方もいると思います。でも、イエス様はいつもここにいらっしゃいました。イエス様はどんな人でも絶対に見捨てることはありません。そのイエス様は、わたしたちみんなに、やさしくしてほしいと願っています。今日の福音にもこうあります。「父がわたしを愛されたように、わたしもあなたがたを愛してきた。わたしの愛にとどまりなさい。……わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい」。御父がイエス様をとても大事にし、それと同じようにイエス様はわたしたちのことをとても大事に思ってくださっています。このことをよく思いめぐらし、そのあたたかなこころ、やさしさを思い起こして、それをみんなで分かち合えたら、と思います。

 繰り返します。1つ目の大事なことは、イエス様のやさしさについてたくさん思いめぐらすことです。2つ目の大事なことは、イエス様のあたたかなこころを思い起こして、他の人にやさしくすることです。

 とは言え、怒ってしまったり、苛立ったりして、うまくいかないこともあります。そのようなときは、「ごめんなさい」とイエス様に素直に謝り、「あたたかな人になれるよう助けてください」とお願いしたら良いと思います。イエス様は、きっとそのような姿を喜んでくださると思います。

 これから50年、100年の未来に向かう亀有教会が、いまお話しした2つの大事なことをこころに留めて実現できるよう、歩みを続けていただけたらと思います。

 まずは、神様、イエス様から支えられ、生かされていることを沈黙のうちに味わってみましょう。